リヴァプールとベゾスの買収、いま何が決まっているのか — 完全整理

〜まだオーナーではない〜$7bn

リヴァプールとベゾスの買収、いま何が決まっているのか。30%の株式、$7bn前後の評価額、12か月以内の過半数取得の選択権。リヴァプールの株式売却について、確定していること、報道にとどまること、これから起きることを1本に整理しました。

サッカー財務クラブ経営

2026年8月14日に発表されたリヴァプールの株式売却について、いま何が決まっていて、何が決まっていないのかを整理します。

見出しでは「ベゾスがリヴァプールを買収」と読める書き方が並びましたが、実際の中身はかなり違います

3行でまとめると

  1. リヴァプールの株式約30%が、1892 Holdingsという投資家グループに売却された
  2. FSGは過半数と運営の主導権を維持している。ベゾスは取締役会にも入らない見込み
  3. ただし12か月以内に、約$8bnで過半数を取得する選択権が付いている

買ったのは誰か

投資主体の名前は1892 Holdings。リヴァプールが創設された1892年から取られています。

公式発表に記載されている投資家は4者です。

投資家内容
アミット・バティア(個人)英国の実業家。この件を主導し、副会長に就任
ミッタル家のトラスト鉄鋼王ラクシュミー・ミッタルの一族。バティアはその娘婿
K5 Sportsジェフ・ベゾスが筆頭投資家。$1bn超を拠出したと報じられる
EE Capitalエドゥアルド・サベリン(フェイスブック共同創業者)夫妻のファミリーオフィス

出典: Liverpool FCSportico

報道で名前が先に出るのはベゾスですが、主導しているのはバティアです。ベゾスはK5の筆頭投資家という立場にとどまり、取締役会には入らない見込みと報じられています。副会長として名前が入るのはバティアのほうです。

バティアはクイーンズ・パーク・レンジャーズの元会長で、プレミアリーグのクラブ経営の経験があります。

金額は、クラブが公表していない

ここは押さえておく必要があります。

クラブの公式発表には、出資比率も評価額も金額も、1つも書かれていません。 書かれているのは投資家の名前と、FSGが過半数と運営の主導権を維持することだけです。

したがって、報じられている数字はすべて報道側のものです。そして媒体によって差があります。

出どころ評価額
ブルームバーグ$6bn
フォーブス(2026年5月時点の独自査定)$6.2bn
スポルティコ、CNBC$7.1bn
12か月以内の選択権$8bn
6報道の下限6.2フォーブス7.1報道の上限8選択権
報じられている評価額($bn)

出典: BloombergSporticoForbes

前に書いたとおり、フォーブスの数字はこの取引と無関係に算定された独自査定です。取引額から逆算した$7.1bnとは、計算しているものが違います。どちらが正しいかという問いは成立しません。

まだ完了していない

見落とされやすい点です。この取引はまだ完了していません。

通過すべき関門が2つあります。

関門内容
プレミアリーグのオーナー・取締役テストクラブを保有するのにふさわしいかを審査する
独立サッカー規制機関(IFR)2025年に発足した公的な規制機関

出典: CaughtOffside

そして重要なのが、12か月の選択権の期限は、規制の承認が下りてから動き出すとされている点です。

つまり時計はまだ動いていません

FSGにとっての意味

FSGは2010年に£300mでリヴァプールを買いました。

現在の評価額を当てはめると、14倍を超える計算になります。

金額
2010年の取得額£300m
現在の評価額(報道ベース)$6bn〜$7.1bn
倍率14倍超

16年で14倍。サッカークラブが投資対象として成立したことを示す数字です。

なおリヴァプールの2024/25の収益は£703mでリーグ最高、税引後は£8mの黒字でした。

これから何を見ればいいか

3つあります。

  1. 規制の承認が下りるか(プレミアリーグのテストとIFR)
  2. 承認後、12か月以内に選択権が行使されるか
  3. 行使された場合、FSGが完全に退くのか、一部残るのか

「ベゾスがオーナーになった」と書かれる日が来るとすれば、それは2の時点です。いまはまだその手前にあります。

見るときのポイント

  • ベゾスはまだオーナーではない。K5 Sportsの筆頭投資家という立場
  • 主導しているのはバティア(副会長就任)
  • クラブは金額を公表していない。報じられている数字は報道側のもの
  • 取引は未完了。プレミアリーグのテストとIFRの承認待ち
  • 12か月の時計は、承認後に動き出す

関連記事

出典

本記事は個人が公開情報をもとに作成した非公式の解説であり、いずれのクラブ・団体とも関係はありません。取引は本記事の執筆時点で完了しておらず、規制当局の承認を条件としています。投資に関する助言を目的とするものではありません。

記事一覧にもどる