試合日収入がプレミアリーグで初の£1bn超 — 一番古い稼ぎ方が、まだ伸びている

〜いちばん古い稼ぎ方が、まだ伸びている〜£1bn
サッカー財務チケット

試合日収入は、席数だけでなく、開催試合数、価格、ホスピタリティの構成によって変わります。増収しても、その全額が利益になるわけではありません。

本文は2024/25の集計を基に、増えた理由と限界を整理します。収容人数の比較と、収益・採算の比較を分けて読みます。

160マンチェスター・ユナイテッド154アーセナル
試合日収入の上位2クラブ(£m)

1. £1bn突破

2024/25
プレミアリーグ20クラブの試合日収入£1bn超(史上初)
前年からの増加+£133m(15%)

別記事で書いたとおり、同じシーズンのリーグ総収入は£6.78bn(+6.8%)でした。つまり試合日収入は、全体の2倍以上の速さで伸びています。

クラブ別の上位はこうです。

クラブ試合日収入
マンチェスター・ユナイテッド£160m(€190.7m)
アーセナル£154m(€183.0m)

2. なぜ伸びたのか

理由は3つあります。

1. 欧州で勝ち進んだ

£20m以上の伸びを記録したのは、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナムの3クラブ。いずれも欧州大会で準決勝以上に進出しました。うち2クラブは、イングランド勢同士のヨーロッパリーグ決勝を戦っています。

ホームでの試合が1試合増えれば、その分の入場料が丸ごと増えます。 CLの賞金(1勝€2.1m)とは別に、試合日収入も積み上がる。勝ち進むことの経済的な意味は、賞金だけではありません。

2. 値上げ

先に見たとおり、2025/26シーズンに向けて13クラブがシーズンチケットを平均8%値上げし、当日券は前季に19クラブが値上げして平均£59.90になりました。

伸びの一部は、同じ人数から、より多く取っている分です。

3. 箱が大きくなった

トッテナムの新スタジアムは収容が25,000人以上増えました。エバートンも2025/26シーズンから52,888人収容の新スタジアムに移っています。物理的に入る人数が増えれば、上限も上がります。

3. 財務ルールの上での意味

2026/27シーズンから始まるSCRの式では、こうです。

スカッドコスト ÷ 調整後収益 ≦ 85%

ここでの85%は国内SCRのグリーン基準です。分母は規則上の調整後の値で、国内のシーズン中の判定では事前合意した収益等を使います。欧州大会の対象クラブは、定義・期間の異なるUEFAの70%も別に確認します。費用枠の増加は、同額の移籍金を使えるという意味ではありません。公式説明。

試合日収入は、分母にまるごと入ります。

そして放映権と違い、この収入はクラブが自分で動かせます。価格を上げる、席を増やす、稼働率を上げる。先に見たとおり、賭博スポンサーの禁止で年£80m規模の減収が見込まれる中、クラブが自力で埋められる数少ない場所でもあります。

4. ただし、限界がある

3つの制約があります。

1. 席の数には上限がある
スタジアムを建て替えない限り、入れられる人数は決まっています。先に見たとおり、£1bn規模の投資が必要になります。

2. 値上げには抵抗がある
サポーター協会の「Stop Exploiting Loyalty」キャンペーンをはじめ、抗議は各地で起きています。マンチェスター・シティは抗議を受けて価格を据え置きました。上げ続けられる収入源ではありません。

3. アウェイ席は上限が固定されている
20クラブはアウェイチケットの£30上限を維持することで合意しています。この部分は、意図的に値上げの対象から外されています。

5. それでも重要な理由

金額としては、放映権(最下位でも£109m)や商業収入に及ばないクラブが多数です。それでも試合日収入が重視されるのは、質が違うからです。

  • 確実性が高い:シーズンチケットは前払いで、成績に関係なく入る
  • クラブが決められる:放映権はリーグが交渉し、スポンサーは相手次第
  • 規制されない:別記事で扱ったAPTルールは、オーナー関連企業との取引を縛ります。しかしチケットを買うのは一般のファンなので、この規制とは無縁です

誰にも文句を言われずに分母を増やせる、数少ない収入なのです。

6. 読むときに確認したいこと

決算で試合日収入を見るときは、こう分解してください。

  • ホームの試合数は増えたか(カップ戦・欧州大会の勝ち進み)
  • 単価は上がったか(値上げ)
  • 収容人数は変わったか(改修・新設)

この3つのうちどれで伸びたかによって、その伸びが来年も続くかどうかが決まります。勝ち進んだことによる伸びは、負ければ消えます。


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出典

本記事は個人が公開情報をもとに作成した非公式の解説であり、いずれのクラブ・団体とも関係はありません。

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