プレミアリーグのチケット価格の実態 — 値上げ幅が最小だったクラブ

〜当日券は平均£59.90まで上がった〜No.19
サッカー財務チケット

チケットの値上げは収益増につながる可能性がありますが、販売数や割引、ファンの負担も変えます。値上げ率だけでは効果を評価できません。

主に2025/26に向けた価格改定を扱います。一般席・シーズンチケット・アウェイ席を分け、単純な売上試算と実際の増収を区別します。

1. 何が起きているか

2025/26シーズンに向けて、13クラブがシーズンチケットを値上げしました。平均は8%。幅は大きく、フラムの2.8%から、リーズの14%まで。

マンチェスター・ユナイテッドは全体で5%の値上げに加え、シニア割引を半減させました。長年通ってきた一部のファンにとっては、実質57%の値上げにあたります。

当日券も動いています。前季は20クラブ中19クラブが値上げし、平均は6.7%増の£59.90になりました。

2. ファンの反応

各地で抗議が起きました。サポーター協会(FSA)の「Stop Exploiting Loyalty(忠誠心を搾取するな)」キャンペーンとして、9試合で連動した抗議行動が行われています。

主張は3つです。値上げの凍結、割引制度の維持、チケット政策についての対話。

一部は動きました。マンチェスター・シティは抗議の直後に、2025/26シーズンの一般席の価格を据え置きています。また20クラブは、アウェイチケットの£30上限を維持することで一致しました。これはプレミアリーグの公式声明に出ています——株主総会でクラブが全会一致でさらに2シーズンの延長に合意し、上限は通算12シーズン続くことになった、と(Premier League公式声明)。

上限の効果も公式に数字が示されています。2016年の導入以来、アウェイ席の入場率は82%から91%に上昇しました。

3. なぜ小さな収入にこだわるのか

ここが本題です。理由は3つあります。

1. 増やしやすいから

放映権料は自分では動かせません。スポンサー収入は相手次第。チケット価格は、クラブが自分の判断だけで、今日決められる数少ない収入源です。

2. 分母に直接入るから

2026/27シーズンから始まるSCRの式を思い出してください。

スカッドコスト ÷ 調整後収益 ≦ 85%

ここでの85%は国内SCRのグリーン基準です。分母は規則上の調整後の値で、国内のシーズン中の判定では事前合意した収益等を使います。欧州大会の対象クラブは、定義・期間の異なるUEFAの70%も別に確認します。費用枠の増加は、同額の移籍金を使えるという意味ではありません。公式説明。

試合日収入は分母にまるごと入ります。£5の値上げ×年間19試合×5万人=約£4.75m。この規模でも、上限ぎりぎりのクラブには効きます。

3. 賭博スポンサーの穴を埋める必要があるから

先に見たとおり、2026/27から胸スポンサーの賭博会社が禁止され、20クラブ全体で年£80m規模の減収が見込まれています。どこかで埋めなければならない。最も手早い埋め方が、チケットでした。

4. 失うもの

短期の計算としては合理的です。しかし、代償があります。

スタジアムの雰囲気は、放映される商品の質そのものです。プレミアリーグの放映権が世界一高いのは、試合が面白いからだけでなく、満員のスタジアムが映るからでもあります。

値上げで常連が去り、観光客中心の客席になれば、その雰囲気は薄れます。目先の£5m のために、£100mの商品価値を削っているという指摘は、この構造を突いています。

アウェイ席の£30上限が維持されているのは、この点をクラブ側も理解しているからでしょう。声を出すファンだけは、安く入れておく必要がある。


5. 読むときに確認したいこと

チケットの値上げ報道を見たら、こう考えてみてください。

  • そのクラブはスポンサー収入を失っていないか(賭博規制の影響を受けた8クラブかどうか)
  • アウェイ席と一般席で、扱いが違わないか
  • 値上げ幅より、割引制度の変更のほうが影響は大きいことがある(マンUの例)

値札の変化は、そのクラブの財務状況の、いちばん分かりやすい表れです。

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出典

本記事は個人が公開情報をもとに作成した非公式の解説であり、いずれのクラブ・団体とも関係はありません。

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