オールドトラフォードの収容人数は74,500人 — 新スタジアムで10万人になる計画の採算

〜回収に36年かかる〜£2bn

オールドトラフォード(オールド・トラフォード)の収容人数は74,500人で、英国のクラブスタジアムでは最大です。マンチェスター・ユナイテッドはその北西350mに10万人の新スタジアムを建てる計画で、用地の大半を取得済み。建設費£2bnを試合日収入で回収できるのかを計算します。

サッカースタジアム財務クラブ経営

オールドトラフォードの収容人数は74,500人です。

これは英国のクラブスタジアムで最大。2位のトッテナム(62,850人)を1万人以上引き離しています。プレミアリーグ20会場の一覧はスタジアム一覧にまとめてあります。

ただし、この数字は数年後に変わります。マンチェスター・ユナイテッドは10万人のスタジアムを新しく建てるからです。

収容人数の基本

プレミアリーグの上位5会場

順位クラブスタジアム収容人数
1マンチェスター・ユナイテッドオールドトラフォード74,500人
2トッテナムトッテナム・ホットスパー・スタジアム62,850人
3リヴァプールアンフィールド61,276人
4マンチェスター・シティエティハド・スタジアム61,038人
5アーセナルエミレーツ・スタジアム60,704人

オールド・トラフォードは1910年の開場です。現在の姿になるまでに何度も増築されており、古い建物を継ぎ足してきた構造になっています。これが後で効いてきます。

新スタジアムの計画

用地はすでに取得済み

ここは報道ではなく、クラブ自身が発表しています

Manchester United has secured the majority of the land required to build a new 100,000-seater stadium
The club acquired the 25-acre site, located approximately 350m north-west of the current stadium

出典: Manchester United公式「United secures land for new 100,000-seater stadium」

いまのスタジアムから北西へ350m、25エーカー(約10万㎡)の土地です。売り主はブラックストーン系のIndurentという産業用不動産の会社でした。

近くに建てる理由も、クラブが説明しています。

Being able to build so close to Old Trafford allows us to preserve the heritage, traditions and rituals that are so important to our fans.

歴史と習慣を残すため、というのが公式の言い分です。

規模と時期

項目内容
収容人数100,000人(英国最大の競技場になる)
建設費約£2bnと報じられています
設計Foster + Partners
移転の目標2030/31シーズン
周辺開発370エーカー、住宅15,000戸、雇用48,000人(クラブ公式)

£2bnは回収できるのか

ここからが本題です。箱を大きくすると、いくら増えるのか。

単純に計算すると36年

マンチェスター・ユナイテッドの試合日収入は£160mでした(財務データベース)。プレミアリーグで1位です。

収容人数が74,500人から100,000人になれば1.34倍。試合日収入が同じ比率で伸びると仮定します。

金額
現在の試合日収入£160m
1.34倍になったら£215m
増える分年£55m

建設費£2,000mを年£55mで割ると——

36.5年。

※この試算は本サイトによる概算です。実際には単価も上がるので、もう少し早くなります。

それでも建てる理由

36年と聞くと割に合わないように見えます。ただ、クラブが見ているのは試合日収入だけではありません。

ひとつは、スタジアムの支出がSCRの分子に入らないこと。 前にスタジアムの建設費は、SCRの分子に入らないで書いたとおり、建物への投資は選手にかける費用と別扱いです。比率を悪化させずに使えるお金なので、資金がここへ向かいます。

もうひとつは、老朽化の費用です。 オールド・トラフォードは1910年開場で、雨漏りが報じられるほど傷んでいます。改修にも巨額がかかる以上、「建て替えないほうが安い」とは限りません。ニューカッスルが同じ判断を迫られている話はニューカッスルの新スタジアム構想に書きました。

そして命名権です。 10万人の新設スタジアムなら、命名権が売れます。エミレーツ・スタジアムの命名権が年£4mでしか売れていないという話を書きましたが、あれは2004年の契約が長く残っているためで、いま新規で売れば額は変わります。

効いてくるのは2030年以降

大事なのは時間軸です。

分母(収入)が増えるのは完成後です。2030/31シーズンが目標なので、あと4〜5年は何も増えません。その間、建設費だけが出ていきます。

「新スタジアムでビッグクラブに戻る」という見出しを見たら、効いてくるのは5年後だと思って読んでください。

覚えておくと効くこと

  • オールドトラフォードの収容人数は74,500人。英国のクラブスタジアムで最大
  • 新スタジアムは10万人、いまの場所から北西350m。用地の大半は取得済み(クラブ公式)
  • 建設費は約£2bn、移転目標は2030/31シーズン
  • 収容が1.34倍になっても、試合日収入の増加は年£55m程度。単純計算で回収に36年
  • それでも建てるのは、SCRの分子に入らない支出であること、改修にも巨額がかかること、命名権が売れること
  • 分母が増えるのは完成後。あと4〜5年は建設費だけが出ていく

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出典

本記事は個人が公開情報をもとに作成した非公式の解説であり、いずれのクラブ・団体とも関係はありません。収容人数は公表値ですが、改修や座席区分の変更で増減します。建設費£2bnは報道にもとづく数値で、クラブは総額を公表していません。試合日収入の増加額と回収年数の試算は筆者による概算で、単価の変動や興行収入は考慮していません。投資に関する助言を目的とするものではありません。

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