プレミアリーグの移籍支出は£2.14bn — それでも記録に届かない2026年夏
〜使った額より、払った相手が変わった〜£2.14bn2026年8月17日時点で、プレミアリーグの夏の移籍支出は£2.14bn。史上最高の£3.14bnには届きませんが、中身が去年までと変わっています。使った額ではなく、どこへ払ったかを見ます。
2026年8月17日時点で、プレミアリーグ20クラブの夏の移籍支出は£2.14bn。締切まで2週間以上を残しての数字です(Yahoo Sports)。
大きな額ですが、史上最高ではありません。
過去6年の夏
| 年 | 支出(総額) |
|---|---|
| 2020 | £1.32bn |
| 2021 | £1.13bn |
| 2022 | £1.94bn |
| 2023 | £2.36bn |
| 2024 | £1.98bn |
| 2025 | £3.14bn(最高) |
| 2026(8月17日時点) | £2.14bn |
去年の£3.14bnが突出しています。今年はそこから£1bn減っている計算です。
本当に注目すべき数字
支出総額よりも、こちらのほうが重要です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 総支出 | £2.14bn |
| 純支出(売却分を差し引いた額) | £856m |
| リーグ内での移籍にかかった額 | 約£785m |
£785m。プレミアリーグのクラブ同士で払い合った金額です。
これは総支出£2.14bnの約37%にあたります。
リーグ内移籍は、リーグの外にお金を出さない
ここが今日の本題です。
AクラブがBクラブに£100m払ったとき、リーグ全体では1ペニーも出ていっていません。Aの財布からBの財布へ移っただけです。
しかし個々のクラブの帳簿では、まったく違うことが起きます。
| 買ったクラブ(A) | 売ったクラブ(B) | |
|---|---|---|
| その年の費用 | 契約年数で割った償却費が発生 | なし |
| その年の収益 | なし | 売却益が一気に立つ |
| SCRの分子 | 増える | 減る |
| SCRの分母 | 変わらない | 増える |
前に書いたとおり、移籍金は契約年数で割って費用にします(償却)。一方、売った側は簿価との差額が、その年にまるごと利益になります。
つまり同じ£100mが、片方では「5年に分けた費用」、もう片方では「1年分の利益」として扱われる。リーグ内移籍は、お金を増やさずに比率だけを動かす取引です。
だから直前に増える
2026/27から始まるSCRの式を確認します。
スカッドコスト ÷ 調整後収益 ≦ 85%
比率が苦しいクラブにとって、選手を売ることは最も速い改善策です。給与が分子から消え、残りの償却費も消え、売却益が分母に加わる。3方向から効きます。
そして売り先として最も現実的なのが、同じリーグの資金力があるクラブです。
£785mという数字は、その結果として出てきたものと読めます。
今年の支出上位
| クラブ | 支出 |
|---|---|
| チェルシー | £348m |
| トッテナム | £228m |
| アーセナル | £151m |
| マンチェスター・シティ | £151m |
11クラブが2026年のうちに自クラブの移籍金記録を更新しています。うちチェルシー、トッテナム、マンチェスター・シティは、この夏の窓での更新です。
前に書いたとおり、チェルシーは2024/25にリーグ史上最大の損失を出したクラブです。それでも今夏の支出はリーグ最多でした。ここは来年の決算で確認すべき点になります。
見るときのポイント
移籍市場のニュースを見たら、この3つを分けて考えてください。
- 総支出は、話題性の指標。クラブの体力とは直結しない
- 純支出(£856m)が、実際にリーグの外へ出ていった額に近い
- リーグ内移籍(£785m)は、お金を増やさずに各クラブの比率だけを動かす
「£2.14bn使った」というニュースの本当の中身は、そのうち4割近くが仲間内での付け替えだったということです。
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出典
- Yahoo Sports「£2.14bn and counting - why Premier League spending could set new record」 https://au.sports.yahoo.com/2-14bn-counting-why-premier-130722113.html
- Premier League「New Premier League financial system explained」 https://www.premierleague.com/en/news/4467022/new-premier-league-financial-system-explained
本記事は個人が公開情報をもとに作成した非公式の解説であり、いずれのクラブ・団体とも関係はありません。移籍市場の数値は締切までに変動します。投資に関する助言を目的とするものではありません。
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