プレミアリーグの移籍収支ランキング2026/27 — 黒字は20クラブ中6つだけ

〜5年で黒字は、20クラブ中1つ〜6つ

プレミアリーグ20クラブの移籍収支をランキングにしました。2026/27シーズンで黒字なのは6クラブだけ。過去5年で見ると、黒字はわずか1クラブです。誰が買い、誰が売って生きているのかを数字で示します。

サッカー財務移籍クラブ経営

移籍の話は「いくら使ったか」で語られがちです。

しかしクラブの財務で効いてくるのは、使った額から、売って得た額を引いた残り——収支のほうです。

20クラブを収支の順に並べました。

2026/27シーズンの移籍収支

クラブ支出収入収支
1アストン・ヴィラ€160.5m€293.1m+€132.6m
2ノッティンガム・フォレスト€60.0m€156.5m+€96.5m
3ニューカッスル€197.0m€275.5m+€78.5m
4ブライトン€139.4m€188.7m+€49.2m
5クリスタル・パレス€63.3m€93.1m+€29.8m
6マンチェスター・シティ€273.7m€278.6m+€4.9m
7サンダーランド€38.0m€32.8m−€5.2m
8リーズ€91.7m€33.1m−€58.6m
9フラム€86.4m€20.5m−€65.9m
10ボーンマス€80.8m€11.4m−€69.4m
11ハル・シティ€88.6m€15.8m−€72.8m
12エヴァートン€99.2m€25.8m−€73.5m
13ブレントフォード€83.5m€7.0m−€76.5m
14リヴァプール€106.6m€30.0m−€76.6m
15マンチェスター・ユナイテッド€173.2m€52.1m−€121.0m
16コヴェントリー€142.7m€5.2m−€137.6m
17イプスウィッチ€178.3m€19.4m−€159.0m
18アーセナル€227.1m€46.1m−€180.9m
19トッテナム€354.7m€165.6m−€189.2m
20チェルシー€407.9m€165.7m−€242.3m

出典: Transfermarkt「Premier League - Transfer income and expenditures」

この数字は【推計】です。 前に移籍金ランキングで書いたとおり、クラブは移籍金を公表しません。Transfermarktの値は報道と取材にもとづく集計で、クラブの決算とは一致しません。

アストン・ヴィラ132.6ノッティンガム・フォレスト96.5ニューカッスル78.5ブライトン49.25クリスタル・パレス29.8
移籍収支が黒字の5クラブ(€m)

黒字は6クラブだけ

20クラブのうち、売った額が買った額を上回ったのは6クラブです。

クラブ収支何が起きたか
アストン・ヴィラ+€132.6mロジャーズを€137mでチェルシーへ
ノッティンガム・フォレスト+€96.5mアンダーソンを€135mでシティへ
ニューカッスル+€78.5mイサク、トナーリを売却
ブライトン+€49.3m例年どおりの売却モデル
クリスタル・パレス+€29.8m
マンチェスター・シティ+€4.9m大量に買い、大量に売った

上位3クラブに共通するのは、主力を1人、大型で売ったことです。

移籍金ランキングの上位20に、ロジャーズ(4位)とアンダーソン(5位)が入っています。売る側から見れば、あれは収支の話でした。

赤字の上位3クラブ

クラブ収支支出
チェルシー−€242.3m€408.0m(18人獲得)
トッテナム−€189.2m€354.7m
アーセナル−€181.0m€227.1m

チェルシーは18人を獲得しています。8年契約の記事のとおり、若い選手を大量に集める方針が続いています。

アーセナルが目を引くのは、売却がわずか€46.2m(5人)という点です。買うだけで売らない。以前に取り上げたアーセナルの商業収入のとおり、このクラブは分母を商業収入で伸ばす戦略なので、売却益に頼っていません。

昇格クラブの支出が異常に見える

クラブ支出獲得人数収支
イプスウィッチ€178.4m19人−€159.0m
コヴェントリー€142.7m10人−€137.6m
ハル・シティ€88.6m19人−€72.8m
サンダーランド€38.0m15人−€5.3m

イプスウィッチとハルは19人ずつ獲得しています。リヴァプールの8人、エヴァートンの6人と比べると異常な数字です。

理由は昇格クラブの罠にあります。2部の戦力ではプレミアで戦えないので、一気に入れ替えるしかない。そして買う時点では、まだプレミアの放映権収入は入っていません。

サンダーランドだけが€38.0mに抑えています。これは胸スポンサーが決まっていないことと無関係ではないかもしれません。

5年で見ると、黒字は1クラブだけ

単年では6クラブが黒字でした。しかし2022/23から2026/27までの5年で見ると、景色が変わります。

クラブ5年の支出5年の収支
1ブライトン€665m+€50.0m
2アストン・ヴィラ€705m−€10.0m
3ハル・シティ€147m−€57.4m
4リーズ€438m−€86.6m
5エヴァートン€403m−€94.3m
6クリスタル・パレス€415m−€118.2m
7ブレントフォード€412m−€157.2m
8コヴェントリー€218m−€158.4m
9サンダーランド€282m−€163.0m
10フラム€403m−€215.7m
11ボーンマス€630m−€241.0m
12ノッティンガム・フォレスト€737m−€275.9m
13イプスウィッチ€401m−€286.8m
14ニューカッスル€889m−€289.7m
15マンチェスター・シティ€1230m−€404.8m
16リヴァプール€945m−€507.3m
17マンチェスター・ユナイテッド€1120m−€778.1m
18トッテナム€1260m−€798.5m
19アーセナル€1050m−€813.8m
20チェルシー€2080m−€992.8m

出典: Transfermarkt

黒字はブライトンだけです(+€50.0m)。

50ブライトン-10アストン・ヴィラ-57バーンリー
5年の移籍収支・上位3クラブ(€m)

ブライトンが特別な理由

ブライトンは選手を育てて売ることを収益モデルにしています。5年で€665mを使い、€715mを回収しました。

カイセドを€116m(移籍金ランキング14位)でチェルシーへ売ったのが象徴的です。

移籍市場で利益を出しているクラブは、20のうち1つしかない。 これが5年で見たときの実像です。

アストン・ヴィラは、ぎりぎりで均衡

5年で−€10.0m。実質的にトントンです。

ただし今季だけで+€132.6mの黒字を出しているので、それ以前の4年で大きく買い越していたことになります。ロジャーズの売却は、その帳尻を合わせる意味もあったと読めます。

リーグ全体では、年€1,137mの流出

2026/27の20クラブを合計すると——

金額
支出€3,053m
収入€1,916m
−€1,137m

この差額は、プレミアリーグの外へ出ていったお金です。欧州の他リーグや、南米のクラブへ流れています。

欧州5大リーグの格差のとおり、プレミアリーグは買う側です。放映権収入で得た金が、移籍市場を通じて外へ配られている構図になります。

収支と決算は、別物です

最後に重要な注意点です。この収支ランキングは、決算の数字ではありません。

移籍収支決算
支出の扱いその年に全額契約年数で割る(償却)
収入の扱いその年に全額売値−簿価が利益
支払い方法考慮しない分割払いを反映

別記事で扱った分割払いの記事のとおり、€100mの移籍でもその年に€100mを払うわけではありません。

つまり「収支−€242mのチェルシー」が、決算で−€242mの損失を出すわけではないということです。収支は「市場でどれだけ動いたか」を見る指標で、帳簿の話とは分けて読む必要があります。

要点をもう一度

  • 黒字は6クラブ。5年で見れば1クラブだけ
  • 黒字の理由は、たいてい主力を1人、大型で売ったこと
  • 昇格クラブは大量に買う(19人という例も)。収入が入る前に払う
  • リーグ全体では年€1,137mが外へ出ている
  • 収支と決算は別物。決算では支出が年数で割られる

移籍のニュースで「今夏◯◯億円を投じた」と書かれていたら、売った額も探してください。 そちらを引いた残りが、そのクラブの本当の動きです。


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出典

本記事は個人が公開情報をもとに作成した非公式の解説であり、いずれのクラブ・団体とも関係はありません。移籍金はクラブが公表していないため、掲載した金額はすべてTransfermarktの集計にもとづく推計です。クラブの決算に記載される数値とは一致しません。

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