BIG6の移籍金ランキング — クラブ史上最高額30件のうち、12件がこの2年
〜クラブ記録の半分が、この2年〜2年プレミアリーグBIG6の移籍金ランキング。クラブ史上最高額を上位5件ずつ並べました。30件のうち12件が直近2シーズンに集中しています。クラブ記録がどれだけ短期間で塗り替えられているかと、その金額が帳簿に与える負担を見ます。
移籍金ランキングと移籍収支ランキングを書いたあと、もう一段細かく見たくなりました。クラブごとの史上最高額です。
対象はいわゆるBIG6——リヴァプール、チェルシー、マンチェスター・シティ、アーセナル、トッテナム、マンチェスター・ユナイテッド。
6クラブぶんを並べ終えたところで、手が止まりました。30件のうち12件が、この2年の移籍だったからです。
クラブ記録の比較
各クラブの1位だけを並べると、こうなります。
| 順 | クラブ | 選手 | 移籍金 | 加入 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | リヴァプール | アレクサンデル・イサク | €145m | 25/26 |
| 2 | チェルシー | モーガン・ロジャーズ | €138m | 26/27 |
| 3 | マンチェスター・シティ | エリオット・アンダーソン | €135m | 26/27 |
| 4 | アーセナル | デクラン・ライス | €116.6m | 23/24 |
| 5 | トッテナム | サンドロ・トナーリ | €108m | 26/27 |
| 6 | マンチェスター・ユナイテッド | ポール・ポグバ | €105m | 16/17 |
出典: Transfermarkt
首位はリヴァプールのイサク(€145m)。2位チェルシーのロジャーズ(€138m)、3位シティのアンダーソン(€135m)と続きます。
最高額と最低額の差は€40m。BIG6の中では、意外に接近しています。
いちばん驚いた数字
上位5件×6クラブ=30件のうち、12件が直近2シーズン(25/26と26/27)でした。
クラブの歴史上いちばん高い買い物。その4割が、この2年に集中しています。
30年ぶんの記録を並べているつもりだったので、これは予想外でした。
移籍金ランキングでも、上位20のうち6件が2025年以降でした。同じ現象が、クラブ単位でも確認できます。
理由は前に書いたとおりです。放映権の分配が増え、試合日収入が£1bnを超え、使える分母が広がりました。
クラブごとの上位5件
金額は【推計】です。クラブは移籍金を公表しないため、Transfermarktの集計値を使っています。「年あたり」は5年契約と仮定した筆者の計算です。
リヴァプール
| 順 | 選手 | 位置 | 加入 | 移籍元 | 移籍金 | 年あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | アレクサンデル・イサク | FW | 25/26 | ニューカッスル | €145m | €29.0m |
| 2 | フロリアン・ヴィルツ | MF | 25/26 | レヴァークーゼン | €125m | €25.0m |
| 3 | ユーゴ・エキティケ | FW | 25/26 | フランクフルト | €95m | €19.0m |
| 4 | ダルウィン・ヌニェス | FW | 22/23 | ベンフィカ | €85m | €17.0m |
| 5 | フィルジル・ファン・ダイク | DF | 17/18 | サウサンプトン | €84.65m | €16.9m |
チェルシー
| 順 | 選手 | 位置 | 加入 | 移籍元 | 移籍金 | 年あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | モーガン・ロジャーズ | MF | 26/27 | アストン・ヴィラ | €138m | €27.6m |
| 2 | エンソ・フェルナンデス | MF | 22/23 | ベンフィカ | €121m | €24.2m |
| 3 | モイセス・カイセド | MF | 23/24 | ブライトン | €116m | €23.2m |
| 4 | ロメル・ルカク | FW | 21/22 | インテル | €113m | €22.6m |
| 5 | カイ・ハフェルツ | FW | 20/21 | レヴァークーゼン | €100m | €20.0m |
マンチェスター・シティ
| 順 | 選手 | 位置 | 加入 | 移籍元 | 移籍金 | 年あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | エリオット・アンダーソン | MF | 26/27 | ノッティンガム・フォレスト | €135m | €27.0m |
| 2 | ジャック・グリーリッシュ | FW | 21/22 | アストン・ヴィラ | €117.5m | €23.5m |
| 3 | アイユーブ・ブアディ | MF | 26/27 | リール | €95m | €19.0m |
| 4 | ヨシュコ・グヴァルディオル | DF | 23/24 | ライプツィヒ | €90m | €18.0m |
| 5 | ケヴィン・デ・ブライネ | MF | 15/16 | ヴォルフスブルク | €76m | €15.2m |
アーセナル
| 順 | 選手 | 位置 | 加入 | 移籍元 | 移籍金 | 年あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | デクラン・ライス | MF | 23/24 | ウェストハム | €116.6m | €23.3m |
| 2 | ブルーノ・ギマランイス | MF | 26/27 | ニューカッスル | €87.5m | €17.5m |
| 3 | ニコラ・ペペ | FW | 19/20 | リール | €80m | €16.0m |
| 4 | カイ・ハフェルツ | FW | 23/24 | チェルシー | €75m | €15.0m |
| 5 | マルティン・スビメンディ | MF | 25/26 | レアル・ソシエダ | €70m | €14.0m |
トッテナム
| 順 | 選手 | 位置 | 加入 | 移籍元 | 移籍金 | 年あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | サンドロ・トナーリ | MF | 26/27 | ニューカッスル | €108m | €21.6m |
| 2 | マテウス・フェルナンデス | MF | 26/27 | ウェストハム | €99m | €19.8m |
| 3 | サヴィーニョ | FW | 26/27 | マンチェスター・シティ | €87.7m | €17.5m |
| 4 | シャビ・シモンズ | MF | 25/26 | ライプツィヒ | €65m | €13.0m |
| 5 | ドミニク・ソランケ | FW | 24/25 | ボーンマス | €64.3m | €12.9m |
マンチェスター・ユナイテッド
| 順 | 選手 | 位置 | 加入 | 移籍元 | 移籍金 | 年あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ポール・ポグバ | MF | 16/17 | ユヴェントス | €105m | €21.0m |
| 2 | アントニー | FW | 22/23 | アヤックス | €95m | €19.0m |
| 3 | ハリー・マグワイア | DF | 19/20 | レスター | €87m | €17.4m |
| 4 | ジェイドン・サンチョ | FW | 21/22 | ドルトムント | €85m | €17.0m |
| 5 | ロメル・ルカク | FW | 17/18 | エヴァートン | €84.7m | €16.9m |
読み取れること
リヴァプールは、この2年に集中している
上位5件のうち3件が25/26(イサク、ヴィルツ、エキティケ)。合計€365mです。
前に株式売却の記事で書いたとおり、リヴァプールの収益は£703mでリーグ最高。分母が大きいクラブほど、SCRの下でも大きく動けます。
チェルシーは、記録が古い
上位5件のうち22/23が2件、20/21が1件。この2年は1件(ロジャーズ)だけです。
8年契約とUEFAの制裁を思い出してください。チェルシーは大量補強の反動で比率が悪化し、動きを抑えざるを得なくなった時期があります。
マンチェスター・ユナイテッドだけが、10年前の記録を持っている
BIG6で唯一、1位が16/17のポグバ(€105m)。9年前の記録が、まだ破られていません。
上位5件を見ても、最新は25/26のシェシュコ。他の5クラブと並べると、動きの鈍さが目立ちます。
ポグバの€105mが今も1位というのは、正直なところ意外でした。この9年でリーグ全体の相場は上がっているので、どこかで抜かれていておかしくない。
別記事で扱ったマンチェスター・ユナイテッドの負債£1.29bnや、カリントンへの£60m投資と合わせて読むと、資金の使い道が選手から施設へ移っているようにも見えます。
アーセナルは、売らずに買っている
1位のライス(€116.6m)は23/24。上位5件のうち3件がこの2年です。
一方、移籍収支では、今季の売却がわずか€46.2m(5人)でした。買うが売らないという、BIG6のなかでも特徴的な形です。
支えているのは商業収入の19%増です。売却益に頼らず、分母を自力で伸ばしています。
トッテナムは、上位3件がすべて今季
サンドロ・トナーリ(€108m)、マテウス・フェルナンデス(€99m)、サヴィーニョ(€87.7m)——3件とも26/27です。
クラブ記録を1シーズンで3回塗り替えたことになります。別記事で扱った移籍収支では−€189.2mで赤字2位でした。
新スタジアムの試合日収入が効いて分母が広がった結果、と読むこともできます。
帳簿では、どうなるか
表の右端に「年あたり」を入れました。別記事で扱った移籍金ランキングと同じ計算です。
移籍金 ÷ 契約年数 = 1年あたりの償却費
イサクの€145mも、5年契約なら年€29m。BIG6のクラブ記録6件を合計すると€747.6mですが、年額に直せば年€149.5mです。
これに給与が乗ります。以前に取り上げたSCRの式では、分子は給与+償却費+代理人手数料でした。移籍金そのものではありません。
見るときのポイント
- クラブ記録の4割が、この2年(30件中12件)
- BIG6の最高額は€105m〜€145mと、差は€40mしかない
- マンチェスター・ユナイテッドだけ、9年前の記録が残っている
- トッテナムは1シーズンで記録を3回更新した
- 帳簿に乗るのは移籍金 ÷ 契約年数。€145mでも年€29m
「クラブ史上最高額」という見出しは、いま毎年のように出ます。それが珍しくなくなったこと自体が、この2年の変化です。
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出典
- Transfermarkt「Record arrivals」各クラブページ https://www.transfermarkt.com/manchester-city/transferrekorde/verein/281
本記事は個人が公開情報をもとに作成した非公式の解説であり、いずれのクラブ・団体とも関係はありません。移籍金はクラブが公表していないため、掲載した金額はすべてTransfermarktの集計にもとづく推計です。「年あたり」は契約年数を5年と仮定した筆者の計算で、実際の会計処理とは異なります。
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